① インフレ・物価高で「FIREに必要なお金」が急激に増えた
以前は
「3000万円でセミFIRE」
「5000万円で完全FIRE」
が現実的と言われていた。
しかし、2022年以降のインフレで状況は一変。
- 家賃・食費・光熱費の上昇
- 社会保険料・税金の負担増
- 長寿化(人生100年時代)
これにより生活費が底上げされ、“必要資産額が20〜30%増えた”。
さらに…
FIRE後の支出=働いていた頃より多くなる
という現実を知る人が増えた。
旅行・平日アクティビティ・趣味・人付き合いなど
「時間が余る → お金が出ていく」現象が起きるため、必要額がさらに上がった。
② 米国株の高金利時代で“期待リターン”が下がった
FIREの前提は「4%ルール」だが、これも揺らぎ始めた。
- 金利上昇 → 株のリターンが抑制される
- インフレ → 実質リターンが低下
- 世界情勢の不安定化 → ボラティリティ増加
たとえば4%ルールは“平均的には安全”でも、
初期の暴落(シークエンスリスク)で破綻確率が跳ね上がる。
YouTube投資家の言う「年利7〜8%で回る」は現実的ではない、という理解が広がった。
結果、
FIREは思っているより難易度が高いものだ
と多くの人が気づき始めた。
③ 実際にFIREした人たちの“リアルな失敗談”が拡散した
SNSでは以下の声が急増:
- 「孤独になった」
- 「社会とのつながりがなくなった」
- 「暇すぎて逆にしんどい」
- 「再就職が難しくなった」
- 「資産が減る不安で節約ばかり」
これにより、
FIRE=自由 / 幸せ
から
FIRE=意外とメンタルに重い
というイメージが形成された。
また、完全FIREよりサイドFIREのほうが心理的に安定しやすいことも認知された。
④ 日本社会全体が「働き方アップデート」されてきた
副業解禁・テレワーク普及・フレックス制度拡大などにより、
“仕事のストレスが以前ほど高くなくなった”
という層も多い。
結果:
FIRE(逃げ)より
キャリア選択(最適化)・ゆるキャリ志向(持続)
へシフト。
⑤ FIREを“目的”にする人が減り、ライフデザイン優先へ
以前:
「仕事がイヤだからFIREしたい」
↓
今:
「働き方・人生のバランスを整えたい」
という価値観へ。
- 週3〜4勤務
- 省エネキャリア
- ミニマムライフ
- 好きな仕事だけ続ける
- 複業型ワークスタイル
FIREは“手段の1つ”として位置付けられるようになり、
FIRE一点集中型の人口は相対的に減った。
⑥ SNSで“FIREインフルエンサーの神話”が崩れた
2020〜2021年のバブル相場で
「投資で資産爆増 → FIREしました!」
が量産されていた。
しかしその多くは:
- バブルの恩恵(実力ではない)
- 紹介料ビジネスで稼いでいた
- 生活費が想定より高く破綻しかけた
SNS上で検証され、理想化されたFIRE像が崩れた。
⑦ “家族構成の現実”がFIRE向きではない人も多い
特に30代以降:
- 子育て費用の上昇
- 教育コストの上昇
- 家賃・住宅価格の上昇
FIREより
家族・子どもの教育優先
という選択が増えた。
🔍
結論:FIRE人口が減ったのは“FIREが弱くなった”のではなく、社会が成熟したから
FIREブームは“初心者が夢を見すぎたフェーズ”だった。
今はより現実的なフェーズへ移行:
- サイドFIRE
- スモールFIRE
- ゆるキャリ
- ミニマリズム
- 自由時間を最大化する働き方
- 小さく稼ぎ続ける人生設計
つまり、
FIREそのものより「自由度の高い生き方」を求める人が増えた
ということ。
これはむしろ社会が健全な方向に進んだ証拠と言える。
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