インフレが引き起こす格差拡大とその背景

近年、世界的なインフレーション(インフレ)の高まりが注目を集めています。物価の上がらない国日本でも、2023年はインフレ率3.23%と高いインフレ率を記録しました。インフレとは物価が継続的に上昇し、お金の価値が下がる現象を指します。つまり、同じ金額で買える商品やサービスの量が減ってしまうことです。実際インフレによって生活必需品が値上がりし、生活が苦しくなったという方も多いでしょう。

その中でも「格差の拡大」が重要な課題として浮上しています。インフレによって格差を拡大させる背景とその仕組みについて、わかりやすく解説します。

インフレで資産の価値が上がる

インフレが起きると、多くの場合、土地や株式といった資産の価値が上昇します。自動車メーカーなどは土地・建物・機械などの資産を保有しています。例えば1000万円で購入した土地が、インフレによって1200万円の価値になるとします。この状況では、その資産を持つ人は何もしなくても資産を増やせることになります。資産が増えるということは会社の価値が上がることを意味しますので、その分株価にも反映されます。

一方、資産を持たない人は、資産価値の増加という恩恵を受けられず、生活必需品や家賃の上昇によって経済的負担が増えるため、資産格差が拡大するのです。

消費税の負担と格差の拡大

インフレが進む中、特に資産を持たない人や低所得者層にとっては、物価上昇が収入増加に追いつかず、生活が一層厳しくなる傾向があります。この状況に消費税が加わることで、貧困層がより苦しい立場に追い込まれてしまいます。

消費税は所得に関係なく一律で課税されるため、低所得者層ほどその負担が相対的に大きくなります。具体例で見ると、必要最低限の生活費を年間200万円と仮定すると、消費税10%では20万円が必要になります。

年収200万円の人にとって、この20万円は収入の10%を占めます。
一方、年収1000万円の人にとっては収入のたった2%に過ぎません。

このように、一見平等に見える消費税も低所得者層は生活費に占める消費税の割合が高くなり、結果として可処分所得がさらに減少します。そのため、消費税は間接的に格差を拡大させる要因と考えられます。

貯金だけでは実質的に資産が減る

インフレが進むと、銀行の預金金利も上昇する傾向があります。たとえば、2024年7月に日本のメガバンク3社が普通預金の金利を0.1%に引き上げました。(今までの金利は0.001%)これは約16年ぶりの高い水準です。しかし、同時期の日本のインフレ率は3%を超えており金利が上昇してもインフレ率に追いつかない状況が続いています。金利が年0.1%に引き上げられても、物価が年3%上昇している場合、実質的には貯金の価値が2.9%目減りすることになります。今年100万円で購入できた車が、来年にはインフレによって103万円になり、購入できなくなってしまいます。

インフレ時代の立ち回り

インフレが進むと、お金の価値が目減りして購買力が低下するため、資産を守り増やすためにこれまでとは違う行動が求められます。

  • 株式などの資産を購入する
    現金預金以外に、インフレに強い資産(株式や不動産など)をポートフォリオの一部に組み込むことで購買力の低下を防げます。
  • 転職や副業で収入を増やす
    現在の仕事で昇給や昇格が見込めない場合、転職や副業を検討して収入を増やしましょう。
  • 借金を有効活用(上級者向け)
    インフレ時には借金の実質的な負担が軽くなるため、これを活用して資産を増やす方法があります。借金をして投資を行い、リターン>金利が見込める場合、その借金は「良い借金」と言えます。

まとめ

インフレは経済に活気をもたらす一方で、格差の拡大という課題を引き起こす要因にもなります。特に、資産を持つ人がますます有利な状況を得る一方で、資産を持たない人は相対的に厳しい状況に置かれることが多いです。インフレに対する正しい知識を身に着け行動することが求められます。

  • インフレとは物の価値が上がり、お金の価値が下がること
  • 一律に課税される消費税は格差拡大の要因
  • 貯金だけでは実質的に資産が減っていく
  • インフレ時代にあった正しい知識と立ち回りを身につけること

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