GPIFとは
GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人【Government(政府) Pension(年金) Investment(投資) Fund(基金)】のイニシャルをとった厚生労働大臣から寄託された年金積立金の管理・運用を行う組織です。皆さんが毎月納めている国民年金・厚生年金を将来のために運用している組織です。
年金制度は現役世代が、老後世代を支える形となっていますが、ご存知の通り日本は少子高齢化のため、現役世代の負担が増加してしまいます。そこで皆さんから集められた資金を運用して、不足分を補うため2001年より運用が開始されました。運用資産額としては219兆円で世界最大規模の年金運用機関です。一時、運用結果がマイナスになりニュースになったことがありましたが、現在(2001〜2023)の累計収益としては+126兆円となっています。年率3.91%で資産が増加しています。
失敗が許されない中これだけの成績を出せるのは素晴らしいですね!GPIFについてさらに知りたいという方はこちらから
ポートフォリオ
ポートフォリオとはさまざまな資産の投資割合を表したものになります。例えば100万円を投資しようとした場合、株式に50万円、ゴールドに25万円、債券に25万円それぞれ投資するというイメージです。GPIFでは数年に一度ポートフォリオを見直しがされています。現在では、国内債券25%・海外債券25%・国内株式25%・海外株式25%を目標に運用しています。
おそらく、現代ポートフォリオ理論(1990年にハリー・M・マーコウィッツがノーベル経済学賞を受賞)に基づいて、リスクを最小を抑えて運用されていると思われます。大切な年金を預けて運用しているのでいざ貰う側になった時に運用が失敗したため年金の補填ができませんでした!ではお話しになりません。長期的な観点から利益が出るように運用されており、乖離許容幅を超えた資産があれば都度リバランスを行っています。GPIFに関する法律にも「運用は、安全かつ効率的に行われなければならない。」と記載されています。
リスク分散の考え方
①1位になる資産は当てられない
国内債券・海外債券・国内株式・海外株式の4つの資産クラスのうち毎年一番リターンの高いところに投資ができればものすごいリターンを出せます。しかし、そんなことは神様でもなければ困難です。下記は4つの資産の年間のパフォーマンスです。景気が良いときは株式が景気が悪いときは債券が高いリターンを出しています。青色の4資産分散は全て2〜4位に収まっています。どんなときでも平均的なリターンが出せる守りを意識した投資と言えます。
②投資のリスクとは
投資の世界では「リスク」とは変動(振れ幅)のことを指します。例えば1万円を投資して1年後に9000円〜11000円になる商品Aと2000円〜18000円になる商品Bであれば、商品Bのほうがリスク(振れ幅)が大きいと表現されます。この中だと国内債券がリスク・リターンが最小で、外国株式がリスク・リターンが最大ということが分かります。基本的にはリスクとリターンは比例します。
③卵を一つのかごに盛るな
投資界隈で有名なことわざとして「卵を一つのかごに盛るな」というものがあります。簡単に言う一つのかごに卵をいれてしまうと落とした時に全て割れてしまうのでかごを分けてとしっかりと「分散投資」をしましょうということなのですが、では分散投資とはどういうことでしょうか?
例えばアイスクリーム会社と、おでん会社の株式に投資するとしましょう。暑い年にはアイスクリームが売れるのでアイスクリーム会社の株価は上がりますが、おでん会社の株価は下がります。寒い年であれば反対にアイスクリーム会社の株価が下がり、おでん会社の株価はあがります。相関係数は−1〜1の間で表され、アイスクリーム会社とおでん会社のように反対の値動きをすることを相関係数がマイナスと表現されます。
今回は気温によって変わりましたが、同じ「日本国内」で「株式会社」に投資するという点では同じです。投資の資産クラスは株式の他にも債券やゴールドなどがあり、それぞれの相関があります。こちらはS&P500(青)と米国債(ピンク)のチャートなりますが、それぞれ反対に動きながら徐々に上昇しているのがわかります。反対の動きをしている(相関係数はマイナス)のため効果的な分散投資ができていると言えます。
一方こちらは日経平均(青)とTOPIX(ピンク)のチャートになります。この2つは日本国内の株式指数のため、似たような動きをしている分散投資ができているとは言えません。
まとめ
- GPIFとは皆さんの年金を運用している公的組織で世界最大規模の年金運用機関である。
- ポートフォリオは国内債券・海外債券・国内株式・海外株式にそれぞれ4分割している。
- 最大リターンは狙えないが、リスクを最小限にした堅実な投資手法。
- リスクが高いとは将来の値動きが大きいこと。
- 分散投資とはふたつの反対の値動きを商品に投資をすることでリスクを最小化すること。
少しでも皆様のお役に立てば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。