最近インド株がよく注目を集めています。昨年は人口が中国を抜いて世界一になり、ゼロコロナ政策や中国の賃金上昇などから、中国以外の国に生産工場を移す動きも出てきており、移す先としてインドが注目されているという理由です。有名なところでいうとアップルやテスラの生産工場、アマゾンも積極的にインドに投資しています。
インドの現状
インドは2023年に人口が14億人を突破して世界一の人口数を誇っています。またインドの名目GDPはアメリカ、中国、ドイツ、日本に続く、世界第5位の大国です。2025年には日本を抜いてGDP世界第4位に、2050年には世界第2位なると予想されています。
日本などの先進国に比べて平均年齢が若いのも特徴です。2023年時点で日本の平均年齢が48歳なのに対して、インドでは28歳です。平均年齢が若いということは、一人ひとりがこれから働く期間が長く、同時にサービスを受ける機会が多くなるということです。例えば、家を建てたり、車を購入したり、旅行したりと20代と50代を比べたら20代のほうが今後の人生でよりお金を使うことが想像出来ると思います。これらはサービスを提供する企業にとっては売上に直結するので平均年齢が若いというのはこれからの中長期的に売上が期待出来るといえます。
長らく世界の工場として経済成長を続けてきた中国の平均年収は191万円、一方インドの平均年収は68万円とまだ低い水準にあり、中国並に経済成長すると仮定するとまだ3倍近い伸び率があります。
一方でヒンドゥー教徒が8割を超える宗教国家でもあります。ヒンドゥー教ではカースト制度という身分制度があり、法律上では1950年にこの差別制度自体は撤廃されましたが未だに人々の生活に根強く残っています。
ヒンドゥー教の教えのひとつに輪廻転生という考え方があります。「現世でのよい行いがよりよい来世を招く」というものです。例えばシュードラという下層階級の身分の場合、農業に従事することが求められ、上位階級のクシャトリア(王族、貴族、軍人)、バイシャ(商人・工業従事者)などになろうとは考えません。上位階級を目指す=現世での良い行いでは無く教えに背いたため来世では更に下の階級に落とされてしまうというのを考えてわざわざそんなリスクを取らないというイメージでしょうか。
全ての国民がこのように考えているわけではないですが、日本やアメリカなどのゴリゴリの資本主義の考え方とは違う文化を持っているというのは認識師ておいたほうが良いでしょう。インド系のエンジニアが世界で活躍しているのは、インド国内では差別制度のせいで上に行けないというのも理由の一つだと考えています。
インド株に投資するメリット
人口が多く平均年齢も若く今後世界を牽引して経済成長していく国のひとつなのは間違いなく経済成長の恩恵を受けられる可能性が高いです。アップルをはじめとした世界的企業の進出、農業・工業・IT産業など分野で強く、鉄鉱石、ボーキサイト、クロム、マンガン鉱といった金属資源も豊富です。
インドの代表的な株価指数にSENSEX指数(日本の日経平均みたいなもの)に投資できる投資信託やETF(上場投資信託)の手数料も0.5%を切るなど投資し易い環境は徐々に整ってきています。
実際に楽天証券のNISAランキングでも4位に入るなど人気が伺えます (ちなみに東証プライムの株価に連動するTOPIXは10位でした)
インド株に投資するデメリット
インド株に投資する上で注意したい点として市場が閉鎖的であるということと、政府との癒着、粉飾決済など企業が出している情報が正確ではない場合があります。また、政治・宗教・社会情勢の変化などのリスクも考えられます。中国をみているとわかりますが、政策によっていきなりIT企業規制をかけたり、教育業界に対して宿題と学習塾の全面的な取り締まりしたり、バブル解消のため不動産企業に融資の規制をかけたり、伸びると思っていた業界が政府の一声で変わってしまうなどがあります。
インドという国は全世界が注目しており非常に期待値が高い市場です。そのため、順調に経済成長をしていても市場の期待を下回ると株価が下落する場合もあります。また、インドで消費が増えても儲かるのは外資系企業だけという可能性もあります。インド人がiPhoneを使えばアップルが、PCを使えばマイクロソフトが儲かります。国内で強い産業が育って成長できるかは未知数です。
結論
デメリットはあるがメリットも大きい。オールカントリーやS&P500などを投資のコアに据えつつ資産の1〜2割程度をサテライト的に運用するのはあり、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)であればちゃんとインドを含んでおり、インドの経済成長とともに比率も大きくなるように自動で調整してくれるので、インドが今後世界平均より成長すると考えている人以外は今まで通りの投資で良いと考えています。
ちなみに私自身は購入していません。投資は自己責任でお願いします。
少しでも皆様のお役に立てば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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