心理学の歴史とは
「人間をどう見るか」を巡る3人の天才の視点の違いである
その中心にいるのが、
フロイト・アドラー・ユングの3人です。
この記事では、心理学史を
✔ 年表ではなく
✔ 人物ベース
で解説していきます。
心理学の出発点|フロイトが「無意識」という扉を開けた
は、心理学を一気に有名にした人物です。
彼が登場するまで、人はこう考えられていました。
「人は自分の意志で考え、合理的に行動している」。
フロイトは、その前提をひっくり返します。
人は無意識に支配されている
フロイトの核心は、
👉 無意識の存在
です。
- 人の行動の大半は無意識によって決まる
- 本人が気づいていない欲望や恐怖がある
- 意識できる自分は、心の一部にすぎない
これを説明するために使われたのが、
有名な氷山モデルです。
心の病を「人格の問題」から解放した
フロイト以前、心の不調は
- 気の持ちよう
- 意志の弱さ
と扱われがちでした。
しかしフロイトは、
抑圧された感情や体験が症状を生む
と説明します。
これは、現代のメンタルヘルスにつながる
非常に大きな転換点でした。
フロイト的な人間観
フロイトが描いた人間像は、少し厳しめです。
- 人は理性的ではない
- 欲望や衝動を抱えている
- 自分のことすら完全には理解できない
心理学はここから、「人間の闇」を扱う学問になります。
アドラー|人は「過去」ではなく「目的」で動いている
は、フロイトの理論に強い違和感を覚えた人物です。
彼の問いはシンプルでした。
「人間を、そこまで悲観的に見る必要があるのか?」
劣等感は誰にでもある
アドラー心理学で最も有名なのが、
👉 劣等感
という概念です。
アドラーはこう考えました。
- 劣等感は人間にとって自然な感情
- 問題は劣等感の有無ではない
- 劣等感をどう扱うかが重要
つまり、劣等感は
成長のエンジンにもなり得るのです。
目的論という逆転の発想
フロイトが
「過去の体験が今を決める」
と考えたのに対し、アドラーはこう言います。
人は「こうありたい」という目的のために、
今の行動や感情を選んでいる
怒り、不安、回避行動ですら、
目的に合っているから採用されている
という見方です。
この考え方は、
自己啓発やコーチングと非常に相性が良く、
現代社会で広く使われています。
アドラー的な人間観
アドラーは、人をこう捉えました。
- 人は環境の被害者ではない
- 解釈と選択の余地がある
- 変わることは可能
心理学に、希望と実用性を持ち込んだ存在です。
ユング|人間の心を「物語」として捉えた思想家
は、心理学をさらにスケールの大きな世界へ広げました。
彼の関心は、
「個人の心」だけにとどまりません。
集合的無意識という発想
ユングは、
👉 集合的無意識
という概念を提唱します。
- 人類共通の無意識の層がある
- 神話・宗教・夢に共通構造が現れる
- 文化が違っても似た物語が生まれる
心理学と神話・宗教・文化を
つなげたのがユングでした。
元型(アーキタイプ)
ユングは、人の心に
- 英雄
- 母
- 影(シャドウ)
といった元型が存在すると考えました。
これは、映画・漫画・ゲームの
キャラクター設計にも強い影響を与えています。
性格分類と現代への影響
ユングは性格を
- 内向型/外向型
- 思考/感情/感覚/直感
で分類しました。
この理論は後に整理され、
MBTIなどの性格診断のベースになります。
ユング的な人間観
ユングが描いた人間像は、こうです。
- 人は物語の中で生きている
- 無意識は敵ではなく、対話相手
- 人生は自己理解のプロセス
心理学を、意味と象徴の学問へと拡張しました。
3人の違いを一言で整理すると
- フロイト:人は無意識に支配されている
- アドラー:人は目的を選べる存在
- ユング:人は物語と象徴の中で生きている
心理学の歴史は、
この3つの人間観が積み重なって進化してきた道のりです。
まとめ|心理学を学ぶ価値は「視点が増える」こと
心理学を学ぶ最大のメリットは、
正解を知ることではありません。
- 自分をどう見るか
- 他人をどう理解するか
- 判断をどう修正するか
その視点の引き出しが増えることです。
フロイト的に自分を見てもいい。
アドラー的に行動を選んでもいい。
ユング的に意味を探してもいい。
心理学は、
「人間を一方向から決めつけない」
ための道具なのです。
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