中国経済は不調?主な原因を解説

日経平均が34年ぶりの高値を更新して、終値ベースで4万円を超えを記録するなど好調な日本経済と反対に中国では景気減速で経済不調に陥っていると言われています。

日経平均指数の中国版である「上海総合指数」も2021年後半から徐々に下落傾向にあります。

中国の景気減速には主に4つの理由が考えられます。
①不動産市場の低迷
②地方政府による債務問題
③米国との貿易摩擦
④若者の失業率増加

①不動産市場の低迷

上海では不動産取得価格が平均年収の50倍になるなど不動産バブルが続いていました。
1980年代の日本の不動産バブル時代でも平均年収の16倍程度でしたのでいかに不動産価格が高騰していたかが分かると思います。

それに対して2020年に中国政府が下記「3つのレッドライン」を設けました。
①総資産に対する負債比率が70%以下②自己資本に対する負債比率が100%以下③短期負債を上回る現金の保有

簡単いうと
借金をしすぎないで健全に会社を運営してね!守れない企業に銀行はお金を貸さないでね!という感じです。

その結果「恒大集団(こうだいしゅうだん)」や「碧桂園(カントリー・ガーデン)」などの中国不動産業界の大手が急激に資金繰りが悪化し、破産寸前に追い込まれました。

中国では家を購入する時、建物が出来上がる前にローンを組んで支払いを始めることが多いです。
建物ができて人が住み始めれば地域が活性化するのでその土地の価格は上昇します。
不動産会社はこの土地を担保に銀行からお金を借り入れ、更に土地を購入してマンションを販売していきました。
このように実態のないまま不動産が売れ続けて急速にバブルとなりました。

②地方政府による債務問題

IMF(国際通貨基金)の試算によると、中国地方政府が発表している債務は35兆元(約700兆円)さらに「隠れ債務」もありそれが56兆元(約1100兆円)、合計で1800兆円になるとも言われています。ここまで債務が膨らんでしまった原因は①であげた実態のない不動産投資です。地方政府は中国共産党からGDP目標を課されますので手っ取り早くGDPを上げて経済発展するには不動産投資をして地域を開発し土地価格をあげることでした。儲けたい不動産業者とGDPを上げたい地方政府の思惑が噛み合ってしまった形です。
中国のGDPに占める不動産セクターは25%にのぼり、他の国々に比べても比率が大きいです。(ちなみに日本の不動産セクターは10%程度です。)
順調に土地の価格が上がり続けている間は問題なかったのですが、土地・建物価格が上昇しすぎて、中国政府が「3つのレッドライン」で介入し、土地や建物価格が下落一気に債務問題が表面化しました。

③米国との貿易摩擦

トランプ政権時代から現在において米国と中国ではお互いの国の商品に高い関税をかけるいわゆる貿易戦争が本格化しました。また2023年1月まで続いた中国の「ゼロコロナ政策」によって物資の移動や生産活動に影響があり、世界の工場を担ってきた中国のみに依存するのは危険という認識が広まり、2023年7月に施行された「反スパイ法」により外資企業にとって中国国内でビジネスをするのが難しくなり中国から撤退する企業や生産工場を他国に移すなど動きが出てきています。急速な経済発展を遂げた中国の平均年収は150〜180万円程度となっており、新興国の中で高い水準になってきており、安い労働力を求める外資企業にとって中国市場は魅力が少なくなってきているのも要因の一つと考えられます。

④若者の失業率増加

2023年6月に若者の失業率が21%になったことが公表されました。(日本は4.2%)中国は日本以上の学歴社会のため、大学進学率は年々上昇しています。大学卒業後は高収入で安定した仕事、公務員やIT、金融、不動産関連に就業を希望する学生が多いです。しかし、急速に大卒者が増えたのに加えて、先行きの不透明感から採用人数を絞る企業が増加し、日本の氷河期時代のように高い失業率になってしまっています。働く人が減ると更にものが売れなくなりますので企業はさらに採用を絞ります。バブルが弾けた日本と状況が似てますね。

まとめ

今回は中国が経済不調に陥っている理由について解説でした。投資的な観点でいうと課題に対して根本的な解決が出来ないと厳しい状況なので中国に積極的に投資はしないです。中国共産党は2024年のGDP成長率を5%前後と発表していますが、何らかの政策をうたないと達成は厳しいのではないかと考えています。

  • 不動産市場の低迷 不動産高騰し政府介入、GDPの25%を占める不動産セクターが大打撃
  • 地方政府による債務問題 不動産事業によって支えられてきた地方政府の巨額債務が顕在化
  • 米国との貿易摩擦 ゼロコロナ政策や反スパイ法で外資企業の撤退
  • 若者の失業率増加 大学進学率UPと景気減速で就職難・デフレ懸念

少しでも皆様のお役に立てば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。

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